今日は珍しく税理士試験の受験生に向けて 「試験勉強と実務の違い」についてお話しましょう。 私も数年前まで税理士試験の受験生でした。 受験勉強はとにかく問題集の繰り返しです。 テキストをじっくり読むのは苦手なタイプだったので、 問題集をやっては間違えた箇所をテキストで確認 これの繰り返しでした。 では、勉強した知識は実務でどれだけ役立つのでしょうか? 私の感覚として 試験勉強で習得した知識が使える割合は60%くらいだと思っています。 そもそも実務では 「私は法人税の専門ですんで、消費税は知りません」 「酒税は完璧ですが、所得税は全く知りません」 なんてことは絶対に許されません。 受験した科目に限らず、各税法の基礎知識くらいは抑えておく必要があります。 また、試験勉強のときには各税法の「特例」が重要になってきますが、 実務上、この特例を完璧に暗記している必要はありません。 たとえば消費税法の「国等の特例計算」であれば、 税理士試験上は5年に1回は出題され、重要度はやや高めですが 実務上の重要性はほとんどありません。 さらに、実務に入って必要と思ったことは しっかり覚えている必要はなく、知っていることが重要ということです。 たとえば、法人税法のすべてを一字一句暗記している人がいたとしても 実務的ではあまり役に立ちません。 どちらかといえば、各条文の適用要件だけ覚えていれば十分と言えます。 お客様の決算をしている時 「あっ、あの条文が適用できそうだな」 なんて思えるときは、勉強していて良かったと感じます。 各税法の特例のすべてを完璧に覚えておくことは、私には難しいですので 最低限「こんな特例があって、こんな人に適用される」という概要だけを抑えています。 細かいことは、実際に適用されることになったら調べるというスタンスです。 ところで、税理士勉強中の方から 「働きながら勉強した方が良いでしょうか?」 という質問をよく受けることがあります。 これにつきましてはご本人の経済状況や年齢などにもよりますが、 5科目のうち3科目までは受験に専念した方が良いと感じます。 残り2科目になってから就職するというのが割とベストではないでしょうか? 働きながら試験に合格することは大変です。 もちろん働いている会社の環境にもよりますが 「うちの事務所は1週間の試験休暇がある!!」 という税理士事務所さんでも、試験前以外は残業三昧であれば休みをもらっても仕方がありません。 しかし、税理士として独立して働けるようになるには 他の税理士事務所での勤務経験は必須だと思っております。 また、多くの税理士事務所の求人募集要件に 「最低3科目以上取得者」というものがありますので 3科目とってからの方が就職状況も良いと考えられます。 ただし、年齢によっては受験専念できないこともありますし 自分の人生プラン上、短期で税理士合格したいという方もいると思います。 そこで皆さんにお勧めしたいのは「目標計画設定」です。 これは、経営学やコ-チングの際に利用されるもので 長期、中期、短期の目標を設定し、それを達成するための計画を設定すること言います。 自分の目標を具体的にすることにより、今何をすべきかが明確になります。 まず、ゴ-ルを設定しましょう。 「税理士試験合格」や「税理士として独立」などです。 ただし、目安として5年先くらいまでに達成できそうなものにしてください。 次に中期目標を設定しましょう。 こちらはゴ-ルまでの途中にある目標で、2~3年で達成できそうなものを設定します。 単純に「3科目合格」でも良いですし、「3科目合格して就職」としても良いです さらに短期目標を設定します。 これは今年一年で達成できそうな目標です。 「1科目合格」や「簿記検定合格」などです。 あとは、それぞれの目標に沿って計画をたてていきます。 3年目で就職する目標があるのであれば4、5年目はあまり負担のある受験科目は残せませんし、 来年は仕事が忙しくなりそうだから、今年のうちに2科目合格狙うとか 人それぞれいろいろな都合がありますのでそれを加味して計画設定しましょう。 もちろん、1年過ぎると計画にズレが出てきますので 計画を見直す必要があります。 私も受験当初のプランに「1年1科目計画」というものがありました。 1年に1科目は確実に合格し、5年目には税理士合格するというものです。 多少のプラン変更はありましたが、最終的に5年で5科目合格は達成しました。 人は目標や期限を設定すると想像以上に頑張れるものです。 特に日本人は規律に厳しい人が多いので 自分自身で定めた規律も守らないと気が済まない・・・はずです。 少なくとも私自身はそういう人間なので 私には適した方法だったと思います。 ぜひ皆様もお試しください。
税理士試験
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執筆者:ゼン