本日はNISAについてお話しましょう。
NISAとは日本版Individual Savings Account(少額投資非課税制度)です。
内容としては、一定の口座(NISA口座)内で投資をすれば 年間120万円の投資にかかる売却益、配当金については非課税とする制度です。
また、NISA口座は一人1口座しか開設することができず、 M銀行とU銀行で2口座開設して非課税枠240万円とすることはできません。
さらに、120万円の非課税枠は5年間しか使用できません。
毎年120万円でそれぞれ非課税期間が5年間ですから、 毎年120万円ずつ投資した場合、6年目には1年目の非課税枠が期限切れになります。
この仕組みを文字で説明するのは難解ですので、下記のHPを参考にしてください。
<日本証券業協会特設HPよりhttp://www.jsda.or.jp/nisa/about/>
この制度は何が目的なのか?
私が思ったのは、プロの投資家ではなく、一般の人を対象に預金などの貯蓄を投資に向けていきたいということなのだと思います。
NISAで投資すれば、ほとんど税金がかからないこととなります。
なんてすばらしいNISA!!
しかし、NISAにも欠点があります。
「売却益が非課税」ということが強調されがちですが、投資ですから必ず得するというものではありません。
株式でも信託でも損をするときは損をします。
では、売却損が出た場合どうなるのか?
答えは「税務上はなかったものとみなす」です。
売却損が出たとしても、他の所得(利益)と相殺することはできないのです。
通常、株式や信託の損失は、他の株式や信託の利益や配当と相殺することができます(損益通算)。
また、その損失を3年間繰り越して損益通算することもできるのです。
つまり、一部の株式で売却益が出ても他の株式で売却損があれば、税金はかからないということができました。
しかし、NISAではこれができず、得があった時も損があった時も税金には無関係ということになります。
また2つ目のデメリットとして 非課税枠の期間が5年間というものがあります。
たとえばNISA口座内で120万円の株式に投資したところ、5年目に10万円にまで値下がりしてしまった場合、通常であれば、少しでも値上がりするのを待つと思います。
しかし、NISAの場合は5年目で半強制的に売却しなければならないのです。
実際には売却しなくても売却損110万円が確定するということになります。
先ほどお話ししたように、この110万円の損失は税務上なかったものとなります。
また、値下がりした株式を6年目の非課税枠に充当したとしても その株式の購入価額は10万円となってしまうのです。
こういったデメリットを考えると NISAを使うならば、なるべく損をしないものに投資すべきだということがわかります。
NISAも投資ですから、その判断は慎重に行いましょう。
そして、このようなデメリットを考えてみると、「非課税」という甘い言葉を使って個人の貯蓄を株式市場に流入させ、日本経済が良くなったように見せたいというのが国側の考えなのではないかとも思える制度なのです。