久ぶりにホームページの検索ワード履歴を確認していたのですが、「相続人 排除」というワードが多かったので、 今日は相続人から除外する方法についてお話ししましょう。
「誰が相続人になるのか」というのは、他のサイトでもいろいろと説明されているため割愛します。
では、その相続人に財産を渡したくない場合にはどうすればよいのでしょうか?
1.相続欠格
まず、一つ目に「相続欠格」です。
つまり、法律上相続する人としてふさわしくないというものです。
例えば被相続人(亡くなられた方)を死亡させた人や、被相続人に遺言を無理やり書かせたり、破棄させた人については、法律上相続する権利を失います。
しかし、相続させたくない人を無理やり相続欠格に該当するようにすることはできませんし、そんなことしたら自分が相続欠格になってしまいます。
2.相続排除
二つ目に「相続排除」です。
被相続人を虐待している人や被相続人の財産を勝手に使ってしまった人などを、 相続人から排除することができます。
ただし、一つ目の相続欠格とは違い、相続排除は、被相続人となる人が生前に家庭裁判所に申し出るか、遺言に記載しなければなりません。
したがって、被相続人が亡くなった後に相続排除の要件に該当していることがわかったとしても、被相続人が遺言に書いていない限りは、この方法で相続人から除外することはできません。
3.相続放棄
三つ目に相続放棄です。
その名の通り、相続することを放棄します、というものです。
この相続放棄は被相続人がご健在のうちは手続きをすることができず、被相続人が亡くなった後、3ヶ月以内に手続きをします。
ただし、相続放棄は放棄する本人が家庭裁判所に申し出なければなりません。
そういった点で「相続人から除外する方法」としては使えません。
4.遺言+遺留分放棄
四つ目に遺言、遺留分放棄という方法があります。
遺言により好きな人に財産を相続させることができますので、財産を渡したくない人以外の人に相続させる旨の遺言を作成します。
しかし、ここで問題になるのは遺留分です。
遺留分というのは相続人に認められた最低保証額だと思ってください。
どんな遺言があったとしても、相続人は法定相続分の半分は相続する権利があります。(ただし、被相続人の兄弟姉妹が相続人の場合を除く)
したがって、「すべての財産を子供に相続させる」といった遺言があったとしても、 配偶者であれば1/4を相続する権利を主張できるのです。
つまり、遺言で財産を渡したくない人を排除したとしても、遺留分を請求される可能性が残っているのです。
この遺留分を主張することを「遺留分減殺請求」といって、被相続人が亡くなったことを知った日から1年以内に、または相続開始から10年以内に家庭裁判所に申し出なければなりません。
つまり、10年間請求されなければ財産を渡さなくて済むわけです。
しかし、そんな10年間も待てませんので「遺留分放棄」を紹介します。
上記の遺留分を放棄するという手続きなのですが、相続放棄と同じように、放棄する人自身が家庭裁判所に申し出なければなりません。
また、この手続きは被相続人が生前に行わなければなりません。
では、遺言と遺留分放棄を組み合わせるためにはどうすればいいのでしょうか?
まず上記のように財産を渡したくない人以外の人に相続させる旨の遺言を作成します。
そして、被相続人が生前のうちに財産を渡したくない人に遺留分放棄するように説得します。
そして、遺留分放棄ができたのであれば一安心です。
昔のように「長男一人に家のことを任せる」というような相続であっても、 今の時代はこういったことまでしないと安心な相続とはいえないのです。
もし、財産を渡したくない人自身を説得できない場合や、被相続人が亡くなった後については、確実な「相続人から除外する方法」はありません。
相続人として相続財産を受け取る権利は、人の権利ですから、そう簡単に奪い取ることはできないようになっているのです。