税金 税務情報

相続人から除外する方法

投稿日:2019年1月15日 更新日:

久ぶりにホームページの検索ワード履歴を確認していたのですが、「相続人 排除」というワードが多かったので、 今日は相続人から除外する方法についてお話ししましょう。

「誰が相続人になるのか」というのは、他のサイトでもいろいろと説明されているため割愛します。

では、その相続人に財産を渡したくない場合にはどうすればよいのでしょうか?

1.相続欠格

まず、一つ目に「相続欠格」です。

つまり、法律上相続する人としてふさわしくないというものです。

例えば被相続人(亡くなられた方)を死亡させた人や、被相続人に遺言を無理やり書かせたり、破棄させた人については、法律上相続する権利を失います。

しかし、相続させたくない人を無理やり相続欠格に該当するようにすることはできませんし、そんなことしたら自分が相続欠格になってしまいます。

2.相続排除

二つ目に「相続排除」です。

被相続人を虐待している人や被相続人の財産を勝手に使ってしまった人などを、 相続人から排除することができます。

ただし、一つ目の相続欠格とは違い、相続排除は、被相続人となる人が生前に家庭裁判所に申し出るか、遺言に記載しなければなりません。

したがって、被相続人が亡くなった後に相続排除の要件に該当していることがわかったとしても、被相続人が遺言に書いていない限りは、この方法で相続人から除外することはできません。

3.相続放棄

三つ目に相続放棄です。

その名の通り、相続することを放棄します、というものです。

この相続放棄は被相続人がご健在のうちは手続きをすることができず、被相続人が亡くなった後、3ヶ月以内に手続きをします。

ただし、相続放棄は放棄する本人が家庭裁判所に申し出なければなりません。

そういった点で「相続人から除外する方法」としては使えません。

4.遺言+遺留分放棄

四つ目に遺言、遺留分放棄という方法があります。

遺言により好きな人に財産を相続させることができますので、財産を渡したくない人以外の人に相続させる旨の遺言を作成します。

しかし、ここで問題になるのは遺留分です。

遺留分というのは相続人に認められた最低保証額だと思ってください。

どんな遺言があったとしても、相続人は法定相続分の半分は相続する権利があります。(ただし、被相続人の兄弟姉妹が相続人の場合を除く)

したがって、「すべての財産を子供に相続させる」といった遺言があったとしても、 配偶者であれば1/4を相続する権利を主張できるのです。

つまり、遺言で財産を渡したくない人を排除したとしても、遺留分を請求される可能性が残っているのです。

この遺留分を主張することを「遺留分減殺請求」といって、被相続人が亡くなったことを知った日から1年以内に、または相続開始から10年以内に家庭裁判所に申し出なければなりません。

つまり、10年間請求されなければ財産を渡さなくて済むわけです。

しかし、そんな10年間も待てませんので「遺留分放棄」を紹介します。

上記の遺留分を放棄するという手続きなのですが、相続放棄と同じように、放棄する人自身が家庭裁判所に申し出なければなりません。

また、この手続きは被相続人が生前に行わなければなりません。

では、遺言と遺留分放棄を組み合わせるためにはどうすればいいのでしょうか?

まず上記のように財産を渡したくない人以外の人に相続させる旨の遺言を作成します。

そして、被相続人が生前のうちに財産を渡したくない人に遺留分放棄するように説得します。

そして、遺留分放棄ができたのであれば一安心です。

昔のように「長男一人に家のことを任せる」というような相続であっても、 今の時代はこういったことまでしないと安心な相続とはいえないのです。

もし、財産を渡したくない人自身を説得できない場合や、被相続人が亡くなった後については、確実な「相続人から除外する方法」はありません。

相続人として相続財産を受け取る権利は、人の権利ですから、そう簡単に奪い取ることはできないようになっているのです。

-税金, 税務情報

執筆者:

関連記事

no image

税理士法違反についての時効

今日は税理士法についてお話ししましょう。 1.税理士の独占業務 所得税や法人税の確定申告書の作成は税理士の独占業務です。 つまり、他の士業(社会保険労務士、行政書士)や無資格者がこれを作成することは違 …

no image

一次相続が未分割だった場合

 相続税のご相談がここ最近多くなっています。 特に多いご相談が今回お話しする「一次相続が未分割であった場合」です。  例えば、Bさんが亡くなられたときに、 Bさんより先に亡くなっていた Bさんの父親A …

no image

ふるさと納税の概要

 ふるさと納税という制度を簡単に説明しますと、 自分の好きな自治体を選択して、所得税や住民税をその自治体に納めることができる制度です。  もちろん、生まれ故郷や育った地方を選択しても構いませんが、 何 …

no image

間違えて収入印紙を貼ってしまった場合、返金・交換はできるの?

契約書や領収書に貼らなくてはいけない収入印紙ですが、もし間違えて貼ってしまった場合、返金や交換をしてもらうことはできるのでしょうか。 収入印紙は数百円だからといって返金手続きをしない方が多いようです。 …

no image

税理士の探し方、選び方

初めての開業。 税金のことなんて何もわからないし、めんどくさいし、税理士にお願いしよう!でも税理士ってどこで探せばいいんだ?どう選べばいいんだ? そんなことありませんか?   今回 …

スポンサーリンク




プロフィール

~プロフィール~

サイト管理人のゼンと申します。

現役税理士が税務情報や株式投資についてお話します。

役立つ記事があれば参考にしてください。

詳細プロフィールはこちら
 

~更新記事一覧~

2018年11月  ▲ 20,391円

2018年12月  +183,832円

2018年 年間収支+163,441円

 

2019年 1月  + 21,128円

2019年 2月  ▲255,290円

2019年 3月  + 58,471円

2019年 4月  ▲110,793円

2019年 5月  ▲ 69,713円

2019年 6月  +115,127円

2019年 7月  +192,802円

2019年 8月  ▲ 172,115円

2019年 9月  +415,766円

2019年 年間収支+195,383円

 

生涯収支     +358,824円