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産業医の報酬に源泉徴収は必要?消費税はどうする?

投稿日:2019年1月20日 更新日:

 ある程度の規模の会社になると産業医を設置しなければなりませんが、この産業医に支払う報酬から源泉徴収する必要はあるのでしょうか?
 また、この報酬に消費税はかかるのでしょうか?  

 一方、受け取った産業医が個人医師の場合、この報酬は給与所得でしょうか?事業所得でしょうか?  

 今回は、この疑問について現役の税理士がお答えいたします。

1.産業医とは

 産業医とは、労働安全衛生法に基づき一定規模以上の会社に設置が義務付けられている医師のことをいいます。

2.産業医との契約の種類

 会社と産業医が結ぶ契約については通常「委託契約」となっていることが多いと思います。委託契約とは、ある業務の実施を依頼し、依頼を受けた者は自己の裁量と責任により、依頼された業務を実施する場合に締結される契約をいいます。

3.税務上の取り扱い  

 結論としては、業務実態を総合的に判断し給与としての実態があるのであれば、給与として源泉徴収する必要があります。
 また、産業医側としても給与所得として取り扱うため消費税は課税されません。

 税務上、報酬や委託料といった支払いについては契約書の契約形態にかかわらず実態に基づいて判断します。つまり、契約書上は「委託契約書」となっていても、実態が「給与」であれば給与として税務上は取り扱います。契約書の文言次第で節税対策をされないためです。

 判断材料としては勤務時間や勤務場所について会社側の指定があり、産業医が自由に選択することができないという実態がある場合には給与として取り扱うべきではないかと思います。  
(外注費とするか給与とするかについても似たような判断をします)  
 上記「2.産業医との契約の種類」でふれたとおり、契約上は委託契約であり医師の裁量と責任により会社の健康管理が行われるものの、その業務自体は会社の事業所において特定の時間の勤務が拘束されるものであり、一時的な雇用としての実態が強いと判断されるためです。

 また、会社が医療法人と契約して、医療法人が所属する医師を産業医として派遣した場合には、会社側は委託料として取り扱うため源泉徴収の必要はなく、消費税は課税仕入れの対象となります。一方、報酬を受ける医療法人は消費税の課税売上となります。

4.税務署の見解

 国税庁のホームページにおいても
「開業医(個人)が事業者開業医(個人)が事業者から支払を受ける産業医としての報酬は、原則として給与収入となり、消費税は不課税となります。」
としています。

 https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/13/01.htm

 ただし、「原則として」という記載がある通り、上記のとおり給与ではないという実態がある場合には給与として取り扱わないこともあり得るということです。
「産業医の報酬は絶対に給与収入」というわけではありませんのでご注意ください。

5.まとめ

 産業医の報酬については、実態に基づいて給与かどうかを判断する必要があります。  
 給与として取り扱うこととした場合には下記のような手続きが必要になるため注意が必要です。

《産業医に報酬を支払う側の処理》

①月々の報酬の支払い時
   乙欄として源泉徴収する必要がある。

②決算、確定申告時
   産業医への支払いは消費税の課税対象外取引となる。
   勘定科目については必ずしも給与として処理する必要はなく、
   「福利厚生費」「外注費」などに計上する。

③源泉徴収票、法定調書合計表の提出
   産業医に源泉徴収票を配布し、法定調書合計表にも給与として集計する。

《産業医側の処理》

産業医としての報酬は給与所得となり、他の所得と合算して確定申告する必要がある。


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