経理 税務情報

クラウド会計ソフトのメリット・デメリットを税理士が語る。

投稿日:2019年1月14日 更新日:

最近、会計ソフトにも「クラウド化」の波が押し寄せている。

そこで、このクラウド会計ソフトのメリット・デメリットについて現役の税理士がお話ししたいと思う。

1.クラウド会計ソフトとは

そもそもクラウド会計ソフトの「クラウド」とはどういう意味だろうか?
クラウドとは簡単に言うと、「個別のパソコンにプログラムソフトをインストールしなくても、インターネットを通じて一定のサービスや機能を利用できるシステム」のことを言います。

既存の会計ソフトは個々のパソコンにプログラムやデータを保存していたので、複数のパソコンで会計データの入力などはできませんでした。しかし、クラウド会計ソフトはインターネット上にプログラムやデータを保存するため、インターネット経由で複数のパソコンで利用することが可能です。

2.クラウド会計ソフトのメリット

①複数のパソコンでの利用する場合、利用料金が安い

既存の会計ソフトであっても、すべてのパソコンにプログラムをインストールすれば利用すること自体は可能です。しかし、クラウド会計ソフトの方が1台あたりの料金が安くなる傾向があります。

②銀行預金やクレジットカードとのデータ連携

クラウド会計ソフトは銀行預金やクレジットカードとのデータ連携を強化しています。
そのため、ワンクリックで通帳の入出金を会計データに連動させる機能や、支出先を定型登録することにより自動的に科目が入力される機能などもクラウド会計ソフトの方が優れています。

③法改正への対応

消費税率の変更などの法改正の対応はクラウド会計ソフトの方が優れています。
抜本的な法改正が行われた場合、既存の会計ソフトは通常買い替えの必要が出てきますし、プログラムのバージョンアップを自分で行う手間が発生します。一方、クラウド会計ソフトの場合は通常は自動的にアップデートされます。

3.クラウド会計ソフトのデメリット

①維持費がかかる

通常の会計ソフトの場合、上記のような法改正がなければ当初の購入費用のみで何年でも使用することができます。
しかし、クラウド会計ソフトの場合はアカウント料金という形で月々使用料がかかるため、長期的に維持費がかかることとなります。

②処理速度がインターネット環境に依存する

税理士にとって一番悩ましいポイントはこれです。
通常の会計ソフトはプログラムもデータもパソコン(もしくはサーバー)に保管されているため、処理速度はパソコン自体のスペックにのみ影響されます。
一方でクラウド会計ソフトの場合、インターネット上にプログラムやデータが保管されているため、処理速度はインターネット環境に影響されます。
そのため、多くの仕訳を入力する場合には通常の会計ソフトの方が優れています。

4.まとめ

ゼンはJDL、弥生会計、勘定奉行、MJS、会計王、freeeなど様々な会計ソフトを使用したことがありますが、会計ソフトごとに一長一短で「絶対にこれがいい!」という会計ソフトはありません。

また、基本的にはどの会計ソフトでも仕訳の入力、決算書の作成などできることは同じです。少しだけ操作方法やボタンの配置が違うだけです。

そのため、下記を参考にクラウド会計ソフトにするのか通常の会計ソフトにするのかを判断していただければと思います。

~クラウド会計ソフトが向いている人の条件~

①現金の入出金がほとんどなく、通帳やクレジットカードの取引が多い

→現金の入出金が多い場合は自分自身で仕訳を入力しなければならないので通常の会計ソフトの方が入力が速い。

②インターネットに抵抗がない

→インターネットで物事を調べることや、「チャット」「ブラウザ」などのインターネットの用語に抵抗がある場合はクラウド会計ソフトは向かない。

5.(おまけ)無料サンプル

会計ソフトについては通常「無料サンプル」や「お試し期間」というのがあります。

そのため、カタログやホームページなどと睨めっこするよりかは、一度ソフトを触ってみて判断するのが手っ取り早いです。

クラウド会計ソフトがどんなものなのか知りたい方は、下記のfreeeを一度お試しいただければと思います。

また、クラウドではない通常の会計ソフトを試したい方は下記の弥生会計を無料で試すことができます。

-経理, 税務情報

執筆者:

関連記事

no image

税理士にとってのe-taxのメリット

今日はe-Taxについてお話しましょう。  そのきっかけとしては、とある相談会で 「e-Taxって利用者のことが考えられていないですよね」 というお話を聞いたからです。  もちろん、「税理士」という立 …

no image

間違えて収入印紙を貼ってしまった場合、返金・交換はできるの?

契約書や領収書に貼らなくてはいけない収入印紙ですが、もし間違えて貼ってしまった場合、返金や交換をしてもらうことはできるのでしょうか。 収入印紙は数百円だからといって返金手続きをしない方が多いようです。 …

no image

印紙税過誤納確認申請書の記入方法を簡単に解説!

印紙税を還付してもらうには「印紙税過誤納確認申請書」を提出しなければなりません。 しかし、その記入方法がわかりにくく、国税庁のホームページを見てもチンプンカンプンです。 そのため、今回はこの「印紙税過 …

no image

中小企業の役員報酬の設定方法

 他の会社の社長さんが毎月いくら役員報酬を貰っているか聞いたことはありますか?一般的には聞いたことはないと思います。 税理士という仕事をやっていると様々な会社で役員報酬の設定についてご相談を受けます。 …

no image

消費税簡易課税の業種区分

消費税の簡易課税制度を適用している場合、課税売上を1~6種の業種に区分しなければなりません。 世の中には様々な取引があり、この業種区分が難しいものがあります。 今回は業種区分についてご質問の多い取引を …

スポンサーリンク




プロフィール

~プロフィール~

サイト管理人のゼンと申します。

現役税理士が税務情報や株式投資についてお話します。

役立つ記事があれば参考にしてください。

詳細プロフィールはこちら
 

~更新記事一覧~

2018年11月  ▲ 20,391円

2018年12月  +183,832円

2018年 年間収支+163,441円

 

2019年 1月  + 21,128円

2019年 2月  ▲255,290円

2019年 3月  + 58,471円

2019年 4月  ▲110,793円

2019年 5月  ▲ 69,713円

2019年 6月  +115,127円

2019年 7月  +192,802円

2019年 8月  ▲ 172,115円

2019年 9月  +415,766円

2019年 年間収支+195,383円

 

生涯収支     +358,824円