確定申告の作業でドタバタしておりますが、お客様からこんな要望がありました。 「法人にしたらどのくらい税金が変わってくるの?」 今日は法人成りした場合の税金についてお話ししましょう。 法人にするメリットとしてはいくつかありますが、税金の計算方法が変わってくること、消費税が最大2年間は免税事業者になれること、退職金が支給できることなどがあげられます。 一方でデメリットとしては社会保険の加入義務が発生することや事務負担の増加、税理士報酬の増額などがあげられます。 今回はその中でも税金の計算方法だけをお話しできればと思います。 まず、個人事業主の場合には事業所得という分類で所得税の確定申告をされていると思います。 そして、それをもとに住民税、事業税などがかかってくるのです。 一方で法人成りした場合には、法人の利益に対して法人税がかかります。 そして法人から社長に対して役員報酬(給与)を支払うので、社長に対しても給与所得として所得税がかかり、住民税もかかります。 「なんか法人成りすると法人税ってのも払うことになって、税金は増えてしまいそう・・・」 と思われるかもしれませんが、法人の利益をすべて社長の役員報酬として吐き出してしまえば法人税はほとんどかかりません。 つまり、年間売上1000万円、経費600万円、利益が400万円のお仕事をされている方が法人成りし、 400万円を社長の役員報酬とすればいいのです。そうすると社長の手取りは個人の時と変わらず400万円、法人の利益は0円になります。 個人事業の場合には「自分に給与」ということはできず、もし生活費として毎月定額を自分の財布に入れていてもそれは経費にできません。 法人成りすれば法人から社長への給与は経費になるのです。 では、個人事業の利益としての400万円と法人からの給与としての400万円では所得税の金額は変わってくるのでしょうか。 結論としては変わってきます。 事業の場合には青色申告特別控除というのがあります。 一定の要件を満たしていれば65万円を所得(利益)から控除できるというものです。 一方で給与の場合にも給与所得控除というものがあります。 こちらは特に条件がなく誰でも最低65万円控除できるというものです。 「最低65万円」というように収入が多い人ほど控除額は多くなり、最大で245万円まで控除できるのです。 ってことは、一定以上の利益が出る場合には給与所得控除の方が多くなり税金も少なくなるわけです。 さらに給与収入には事業税がかかりません。 先ほどのように法人成りして、利益をすべて役員報酬で支給する場合には事業税がかからなくなるというのも大きなポイントです。 さて、いろいろとお話ししましたが、結局いくら以上利益が出る場合には法人成りした方が良いのか。 私が計算したところでは年間利益が300万円以上になると法人成りした方が所得税、住民税、事業税は少なくなると思います。 300万円に対して個人事業主の場合には所得税99,500円、住民税202,000円、事業税5,000円の合計306,500円の税金がかかります。 一方法人成りした場合、法人税の均等割額(利益が出ていなくてもかかる税金)が70,000円、所得税77,000円、住民税159,000円の合計306,000円の税金になります。 ただし、法人成りした場合には冒頭にお話ししたように他のメリットやデメリットもありますので、法人成りする前には税理士にご相談いただければと思います。 法人の決算や法人税の申告書の作成は一般の方には少し難しく、ご自身ですべてやろうとお考えの方も設立一期目だけでも税理士に依頼することをお勧めいたします。
法人成り
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執筆者:ゼン