消費税は、売上に含まれた消費税から経費に含まれた消費税を控除し納付税額を計算する預り金的な税金と考えられます。
しかし、実際には消費税を預かり税金として貯金していることはなく、多額の納付税額にびっくりすることが多いと思います。
顧問税理士がいる場合であれば決算を迎える前に、今期の決算がどのくらいの数字になるのかや、税金の予測納付額などを報告してもらえるケースが多いと思いますが、それでもある程度は消費税の計算方法をご自身でも把握しておくべきと思います。
そこで今回は決算を迎える前に消費税がどのくらいの納付税額になるのか概算する方法をお話しします。
1.前期決算との比較から概算する
消費税は冒頭にお話しした通り、売上に含まれた消費税から経費に含まれた消費税を控除し納付税額を計算します。したがって、売上や経費の金額に大きな変化がなければ、納付税額は前期とほぼ同額となります。
ただし、利益の金額に変化がない場合であっても、売上の内容や経費の内容に変化があった場合には、消費税の納付税額も変化する可能性があるため注意が必要です。
たとえば、前年と比べて売上が増加したが、従業員に支払う給与が増額し、利益の金額は前年とほぼ変わらない場合には、消費税の納付税額は増加します。 これは売上や経費の内容によっては消費税の課税されないものが含まれるためです。そのため消費税の課税されない(含まれていない)給与が増加した場合には、経費が増加しても消費税の納付税額は増えてしまいます。
2.年間の予測利益から逆算で計算する
どんな経営者であっても今期がどのくらいの利益になりそうなのかは計画があるかと思います(なければ絶対に作成していただくことをお勧めします)。
そこから以下の計算式にあてはめて納付する消費税を予測することが可能です。
当期利益 + 消費税の課税されていない支出(給与、法定福利費、租税公課、減価償却費など) - 消費税の課税されない収入減価償却費(受取利息、受取家賃など)
3.間違った計算方法
古い経営者の方によくいるのが、利益に対して8/108を乗じて納付する消費税を概算する方がいます。この方法は支払う給与や減価償却費などがない小規模な事業主であれば問題なく計算できるかもしれませんが、人件費がある場合には誤った計算となります。
そして、このような消費税の概算方法されている方は、利益が下がれば消費税の納付額も減るものと考えていることがあります。しかし、消費税は赤字決算でも納付税額が発生することもありますのでご注意ください。
4.課税事業者1期目の注意点
消費税の課税事業者となった初年度は、1年分の税額をまとめて納付することになるため、事前に納付税額を把握しておく必要があります。
もちろん課税事業者となってから2、3年目であっても納付税額は把握しておくべきです。しかし、初年度以外については年間の納付税額が一定の金額以上となった場合には中間納付する必要があるため、年間の納付税額を分割して支払うこととなります。