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住民税の特別徴収

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特別徴収というのは、従業員の住民税を給与から天引きして、 会社や事業主が変わりに住民税を納付する方法を言います。 一方で市区町村から納付書が届いて自分で納付する方法は普通徴収といいます。 市区町村としては特別徴収の方が良いのです。 なぜならば徴収漏れや納付逃れが少ないからです。 住民一人一人に納付書を送って、納付状況を管理するのはとても煩雑です。 一方で特別徴収にすると従業員ではなく会社や事業主に住民税を請求することになり、 徴収漏れを少なくすることができるのです。 そのため近年、市区町村は特別徴収を様々な方法で推進しています。 たとえば、埼玉県では特別徴収をしていない建設業者は入札に参加できません。 では、会社や事業主にとって特別徴収にするメリットはあるのでしょうか? 特別徴収推進チラシには以下のようなことが記載されています。 「Q 特別徴収を行うメリットはありますか? A 個人住民税の税額計算は市区町村が行いますので、所得税のように事業主が税額を計算したり、年末調整をする手間はかかりません。また、従業員(納税義務者)が納付を忘れる心配もありません。さらに、特別徴収は年12回なので、普通徴収に比べて1回あたりの納税額が少なくなります。」 これを読んで納得するでしょうか? 私としては全く納得がいきません。少し曲った視点で解説しましょう。 まず、「年末調整をする手間はかかりません。」とありますが、それは普通徴収であった場合でも同じです。 どちらであっても市区町村から納付書が届きます。その送付先が従業員本人か、会社や事業主かの違いです。 たしかに、年末調整が必要な源泉所得税に比べれば、手間は少ないというのはメリットかもしれませんが、 今は普通徴収から特別徴収にした場合のメリットを載せるべきだと思います。 次に「従業員(納税義務者)が納付を忘れる心配もありません。」とありますが、 特別徴収にした場合、会社や事業主が納付を忘れることだってあると思います。 もちろん納付が遅れた際の延滞金は会社や事業主の負担になります。そう考えるとむしろデメリットですね。 最後に「普通徴収に比べて1回あたりの納税額が少なくなります。」とありますが、 決して年間で支払う納税額の合計は変わりません。 例えば年間の金額が12,000円ならば、毎月1,000円納めるのが特別徴収、年4回3,000円納めるのが普通徴収です。 たしかに「1回あたりの」と記載しているのですが、まるで「税金が安くなる」ような印象を受けるのは私だけでしょうか・・・。 そんなわけで私は特別徴収にはあまりいいイメージはありません。 会社や事業主としては、住民税を納付する手間が増えますし、 従業員としては給料の手取りが減ります。 そもそも会社や事業主が、普通徴収と特別徴収のどちらかを選べていたのだから、 特別徴収を推進するのであれば、もっと具体的なメリットを用意したほうが良いのではないかと思っています。 過去に税務署が電子申告を推進するために、電子申告を導入した人に減税措置を講じたように・・・。

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